モルモットの不正咬合(過長歯)
どんな病気?
モルモットが掛かる病気の中でも最も多い病気が不正咬合です。
前歯のかみ合わせが悪くなる「切歯不正咬合」と奥歯のかみ合わせが悪くなる「臼歯不正咬合」の2種類ありますがわざわざ別けて呼んでいる事は少なくどちらも一括りに「不正咬合」として扱われる事が多いです。
モルモットの歯は伸び続ける常生歯です。
本来はかじり木や食べ物を噛む際に歯も削れて上手い事嚙み合うのですが何らかの原因で上手く歯が削れずに伸びてしまい不正咬合になってしまう場合が多いです。
ビタミンCが不足すると歯根が不安定になり上手く物が噛めずに不正咬合になる事もあります。
稀ですが顎関節などの歯以外の原因で不正咬合になる場合もあるようです。
不正咬合は簡単に言えば歯のかみ合わせが悪い状態です。
稀な症状ですが歯根に膿瘍が出来てしまい下顎が腫れあがったり眼が圧迫されてギョロ目になったり酷いと目玉が飛び出る(眼球脱出)事もあります。
不正咬合の症状は?
不正咬合の時に出てくる症状は様々な物があります。
下にまとめた症状以外にも不正咬合の症状はあるかと思いますが大体の子は下の症状が出てくると思います。
気になるような事があれば早め早めの動物病院での診察をお勧めします。
病院に行って「何も異常が無い」と診断されてもがっかりしないで下さい健康が一番大事なんですから!
※下に書いてある事が全く当てはまらない子ももしかしたらいるかもしれませんので病院での定期的な健康診断を受ける事をお勧めします。
- 食欲が落ちてきている
不正咬合になると噛み合わせが悪くなり上手く物が食べれなくなる・物を噛むたびに伸びた歯が口の中に当たり痛みを感じる事が多く物を食べなくなってきます。 - よだれが出ている
歯が伸びて来てしまい口を上手く閉じられない・口が痛くて半開きになっている為によだれが出て来てしまいます。
顎下がビチャビチャになるくらいよだれが出てきている時は早急に病院で診てもらって下さい。 - ウンチが小さい・形が悪い
歯が伸びてしまい上手く食べられないのでウンチにも影響が出てきます。
ウンチの形・大きさのチェックは毎日して日頃の健康なウンチを覚えておくのがおススメです。 - 体重の減少
上手く物が食べれなくなってきているので体重も減ってきてしまいます。
様々な病気で体重の減少が確認できるので一日一回体重を計って何かに記録する癖を付けておきましょう。 - 下顎が腫れている・ギョロ目気味(眼球突出)になっている※比較的稀な症状です
不正咬合が原因で歯根部分に炎症が起こってしまいそれが原因で下顎が腫れあがってしまう事もあります。
上顎の臼歯部分で炎症が起きてそれが原因でギョロ目気味になる事もあります。 - 元気がない
ケージの隅でうずくまっていたり部屋んぽに出ても部屋の隅っこの方や隠れられる場所に行き出てこないなどいつもと様子が違う場合は注意してあげる必要があります。
不正咬合が原因でストレスを感じていたり体が弱っていると動かずにジッとしている事があります。
不正咬合以外の病気や怪我でも動かなくなる事は多いので心配なら一度動物病院で検査してもらう事をお勧めします。
不正咬合の治療方法は?
歯を切る・削って正しい本来の嚙み合わせに近づくように整えます。
自宅での治療はほぼ不可能なので必ず動物病院で獣医さんに治療をしてもらって下さい。
一度不正咬合になると完治はほぼ不可能で歯を整えて貰ってもいずれまた不正咬合になるので歯を整えてもらうために定期的な通院が必要です。
切歯だけの治療の場合大人しい子は麻酔無しで出来る事もありますが大体は治療中に暴れたりしないように鎮静剤を打って治療をします。
臼歯の治療は麻酔を使用し動かない状態で治療をします。
歯は動物用の専用の歯科器具を使い整えていきます。
短くし過ぎると次回伸びるまでの時間を稼ぐことが出来ますが上手く物が食べれなくなる場合があります。
短めにしてもらった場合でもそうでなくても治療後毎日体重を計りちゃんと物が食べれているかどうか確する事が重要です。
病院から帰ってきてのケア
毎日体重を計測してしっかりと食べれているかの確認を忘れないようにして下さい。
ウンチ・オシッコをちゃんとしているかどうか健康なウンチ・オシッコかを確認してあげて下さい。
臼歯を見る事は難しいですが切歯は自宅でもチェックする事が出来るので定期的にチェックしてあげて下さい。
※切歯のチェック方は単純に唇をムニッとして伸びているかをどうか確認します。
モルちゃんの顎・口周りは非常にデリケートです慣れていない・嫌がって暴れる場合は無理にチェックしない方が良いです。
- 治療後にペレットを食べずらそうにして口から落としてしまう様子ならば口元付近まで食べ物を持って行ってあげる。
野菜などは柔らかい物を細かく切って山盛りにして与えると食べてくれたりします。
ペレットも少し水に付けて柔らかくしてあげると食べやすくなります。 - 上手く物が食べれない場合には注射器にふやかしてドロドロにしたペレットを入れて口に突っ込んで食べさせます。(強制給仕をします。)
ペレットをそのまま水に溶かしても注射器で吸えるほど細かくならないので電動のコーヒーミルなどで一度砕いた物を水に溶かす事をおススメします。
水に溶かすペレットはハードタイプの物よりもソフトタイプの方が水によく溶けて注射器で与えやすいです。
強制給仕を始めたばかりの時は全力で拒否する子も少なく無いですが慣れてくると咥えて離さなくなるので慣れるまでの辛抱です。
強制給仕を始めたばかりの頃は人間も慣れていないので口の横から入れた物が出てきてしまう事が多いです。
そんな時は思い切ってもうちょっとだけ注射器を口の奥の方まで突っ込んであげて下さい!大体はそれで解決します。
※入れすぎはダメです少しづつ調整してあげて下さい。
口の中にまだ強制給仕の物が残っている状態で追加で入れても出てきてしまうので顎の動きが止まってからあげましょう。
(強制給仕が必要になったら獣医さんにどれくらいまで口の中に注射器を入れても平気か聞いておくのがおススメです。)
- チモシーも1番刈りが食べづらそうならば2番刈りや3番刈りを与える。
今あげている物がシングルプレスの物ならばダブルプレスの物にしてあげてみて下さい。
どうしてもチモシーを食べないようならばライグラスなどをあげてみるのもいいかもしれません。 - 体重が落ちてしまった子はアルファルファや成長期用のペレットなど栄養が多い物をあげて体重を通常時と同レベルになるまで戻してあげて下さい。
不正咬合の原因は?
切歯の不正咬合ではケージの柵など固い物を齧った時に通常とは違う形で歯が削れてしまったり、嚙み合わせが悪くなってしまう場合が多いです。
臼歯の不正咬合は牧草では無く、ペレットなど比較的柔らかい物を多く食べている事で臼歯が擦り減るスピードを歯の伸びるスピードが上回った時になる場合が多いです。
どちらか一方の不正咬合を発症している状態だと食欲不振になりもう一方の歯も不正咬合になりやすくなります。
両方ともにビタミンCの不足が原因で歯根が不安定になり不正咬合になってしまう事もあります。
まれな例ですが顎関節や遺伝が原因で不正咬合になってしまう事もあるようです。
この場合は残念ですが不正咬合などの病気になるまでに気づくのは非常に難しく対策のしようが無いので運命だと受け入れ不正咬合になった時は治療に専念するしか無いです....
不正咬合にならないための対策
- ケージの柵を齧ってしまう子は少しでも早くかじれないように柵に直接つけるかじり木を付けて柵をかじれなくしてしまいしょう。
部屋んぽ中もモルちゃんが齧ってしまうとまずい物は齧れない場所に移動しておきましょう。
- ペレットなどはパッケージに記載されている一日の規定量を守ってあげ過ぎないようにしてなるべくチモシーを食べてもらうようにしましょう。
野菜などをあげる時も必要以上にあげないように注意してあげるようにして下さい。
モルモットの主食は牧草(チモシー)です。 - ビタミンCはペレットに含まれている量+ビタミンCサプリを与えていれば特に気にする必要はありません。
ビタミンCサプリを与えていない場合は与えるようにした方が良いです。
ペレットの中に含まれているビタミンCは空気や光に触れると成分が分解したり酸化してしまう事があるのでペレットの袋をしっかりと閉じていなかったりするとビタミンCの量が少なくなってしまう恐れがあります。
※ペレットをモルモット用(ビタミンC配合の物)以外の物を与えている場合は今すぐにモルモット専用のペレットに交換して下さい。
(サプリはほぼ確実にビタミンCが摂取できる液体タイプの物を当サイトではお勧めしています。)
- かじり木を常にかじれるようにしてあげて下さい。
不正咬合防止にもなりますしモルモットはストレス解消のためにも「かじる」行為をします。
かじり木をかじってくれない場合は今のかじり木が合っていない可能性もあるので違う形のかじり木をあげてみて下さい。
目に見えてかじり木をかじっている時は、正直ストレス発散で不正咬合予防にはほぼ意味ありません。
ですが細かくなった木屑?を奥歯の方でゴリゴリしている時は効果ありです。
細かい木屑をゴリゴリせずともストレス発散で噛む子が多いのでかじり木はモルちゃん飼育には、必須アイテムです。
色々なかじり木を試してもダメな場合はかじり木と言えるか微妙ですがミルキューをあげて下さい。
アルファルファで出来たミルキューならば大体の子が齧ってくれます。
- 可能な子は定期的に切歯(前歯)が伸びていないかどうかチェックをしてあげる事をお勧めします。
臼歯(奥歯)のチェックには専用の開口器が必要で顎を傷めてしまう可能性も非常に高いので自宅でのチェックは出来ません。