モルモットのうっ滞
うっ滞はどんな病気?
うっ滞は簡単に言うとお腹の調子がすこぶる悪い事です。
モルモットは、常に胃腸が元気よく動いてウンチがモリモリ出てくるのが健康な状態です。
何らかの原因によりその消化器系の動きが低下してしまった状態がうっ滞と呼ばれます。
モルちゃんのお腹の中には膨大な数の腸内細菌がいて、日夜モルちゃんのポヤポヤボディ維持する為に見えない所で奮闘しています。
そしてこの腸内細菌にも色々とバランスがありますがこのバランスが崩れてしまう事も胃腸が健康に動かなくなる事に繋がります。
原因によっては年齢や性別関係なく起こりうる病気なので日頃から注意してあげて下さい。
お腹の調子が悪いだけならそのうち治るかな?何て甘い考えは今すぐに捨て去ってください。
もしも自宅の子にうっ滞の症状があるようならば急いでモルモットが診れる獣医さんに診てもらって下さい。
症状が軽ければ安静にしていれば数日で治る場合もありますが、重度の物だと病院に行こうか迷っている数日のうちに死亡してしまう事も少なくありません。
うっ滞以外にも毛球症・鼓腸症・イレウス・腸閉塞などと呼ばれる事があります。
うっ滞がお腹の調子が悪い事全般で、その原因でその他の呼び名があるといった認識で良いかと思います。
毛球症は自分の毛を沢山食べてしまいお腹の中でそれが詰まってしまう事を言います。
鼓腸症はお腹の中でガスが溜まっている状態です。
腸閉塞は文字通り腸が何らかの理由で物理的に詰まってしまった状態です。
対してイレウスは物理的には、詰まってないけれども内蔵の動きが悪くなり詰まってしまった状態です。
うっ滞の症状は?
うっ滞には様々な症状が出てきます。
下にまとめた症状以外にうっ滞の症状はあるかと思いますが大体の子は下の症状が出てくると思います。
気になるような事があれば早め早めの動物病院での診察をお勧めします。
病院に行って「何も異常が無い」と診断されてもがっかりしないで下さい健康が一番大事なんですから!
※下に書いてある事が全く当てはまらない子ももしかしたらいるかもしれませんので病院での定期的な健康診断を受ける事をお勧めします。
- お腹が張っている
お腹にガスなどが溜まって張っているように見える事があります。
何時もよりお腹がぷっくりしているかなと思ったら優しく触ってみて下さい。
痛がったり嫌がるようであれば急いで獣医さんに連れて行き診て貰った方が良いです。
※純粋にお腹を触られるのが嫌な子もいます。 - 歯ぎしり
お腹が痛くてストレスを感じているので歯ぎしりをしてしまいます。
モルちゃんから発する異常事態を知らせるサインなので歯ぎしりに気付いたら何かしら異常が無いか確認してあげて下さい。
単に機嫌が悪くて歯ぎしりする事もあるので歯ぎしり=うっ滞という訳ではありません。 - 動かない
お腹が痛くて動きたくない場合もあればストレスで動きが悪くなる場合もあります。
いずれにしても動けない程症状が進んでいるという事なので結構深刻な場合が多いです。 - やたらと伸びて寝る・寝っ転がってばかりいる・猫背になっている
痛みを和らげようとモルちゃんなりに考えた末の体制がこれらしいです。
何時もと違う体勢でほとんど動かずに寝てばかりいる時などは、注意が必要です。 - 食欲の低下
初期だとチモシーやペレットは食べないけれどおやつは食べるという状態ですが次第に何も食べてくれなくなります。
徐々に症状としてあらわれてくる場合もあれば突然何も口にしなくなる場合もあります。
丸一日何も口にしていない場合は、緊急でも良いのでとにかく早めに獣医さんに診てもらって下さい。 - ウンチが出ない・小さい・形が悪い
お腹の調子がとても悪い状態になっているのでウンチも出ないor小さくなってしまいます。
形の悪いウンチや小さいウンチがある時は、注意が必要です。 - 食欲がなくなる
全ての病気・怪我に共通して言える事ですがあまり物を食べなくなります。
うっ滞の場合はお腹の調子が悪いのでそりゃ食べないですよね。
基本脳みその9割は、食べ物の事を考えているモルちゃんが食べなくなるのは異常事態です。
食欲が無い場合は、他に異常が無くとも一度病院で診て貰う事をお勧めします。
うっ滞の治療方法は?
一般的には、容体に合わせてお腹の動きを良くする薬や栄養や水分などを入れて貰って入院or自宅に帰って様子見となります。
症状が重い場合(閉塞などを引き起こしている場合)は手術が必要になる事もあります。
お家に帰っても良いと判断されたら薬を出して貰えると思うので忘れず飲ませるようにして下さい。
これをしたらすぐ治る!という治療方法が無いのでもどかしいですが対症療法で時間を掛けてやっていくしかないのが現状です。
今後の科学の進歩に期待してうっ滞だろうと何だろうと「チクッと一発すぐ完治!」みたいなのが出来る事を祈りましょう。
うっ滞の診断は、触診でお腹を触る・聴診器でお腹の音を聞く・レントゲンでお腹の様子を見るというのが主だと思います。
恐らく症状(便が出ていない・食欲が無い・お腹が張っているなど...)を伝えればモルモットが診れる獣医さんならばうっ滞を可能性に入れて診察してくれます。
いつごろから症状が出始めたのか・物を食べているかどうか・あげているご飯は何か・普段チモシーはどのくらいあげていてどのくらい食べているのかなどを伝えると診察がスムーズに進むかと思います。
うっ滞の根本的な原因を判明させる為に血液検査などをする事もあります。
病院から帰って来てのケア
体重を計れるようならば計測してしっかりと食べれているかの確認をして下さい。
ウンチ・オシッコをちゃんとしているかどうか健康なウンチ・オシッコかを確認してあげて下さい。
処方された薬を獣医さんの指示通りに与えるようにしましょう。
帰ってきてから少なくとも1週間ほどはモルちゃんの様子をよく観察して症状が良くなってきているか確認してあげて下さい。
指示通りに薬を与えても一向に回復する兆しが見えない場合は早めに獣医さんに相談して下さい。
体を冷やさないようにペット用のヒーターなどを準備して常に体を暖められるようにしておいてあげて下さい。
室温をあげるよりもケージ内の一部分が、ペットヒーターで暖かスポットになっているように用意してモルちゃん自身が温度調節を出来るようにしておくのがおススメです。
※室温はモルちゃんにとって快適な温度になっている事が前提での話です。
自分でご飯が食べられない子には強制給餌でご飯をあげる必要があるので不安な方は獣医さんにやり方を聞いておく事をお勧めします。
強制給餌用の粉(普通のペレットと比べて値段がとても高い!)を薬と一緒に出して貰えると思うのでそれを水で溶いて与えるようにして下さい。
値段がとても高いので長期的(数ヵ月~)に給餌をしなければならないとなったら、普通のペレットを砕いて水に溶かしてあげた方が経済的です。
給餌が短期間で終わるのであれば強制給餌専用の物の方が水に溶けやすく与えやすいのでおススメです。
うっ滞の原因は?
うっ滞の原因はとても多く様々な事が原因でうっ滞に繋がってしまいます。
日常のほんの些細な事でもうっ滞の原因になりかねないので注意が必要です。
下記にある事以外にも、うっ滞の原因になり得る事は山のようにありますので、日常の生活で変だなという事があれば一度獣医さんの診察を受ける事をお勧めします。
明確な原因が分からないままだと、一時的に良くなってもまた繰り返してしまうという事もあります。
短期間に何回もうっ滞になってしまう場合は、一度違う病院で診て貰ってもいいかもしれません。
- ストレス
人間からすると何でもない事がモルちゃんにとってはストレスとなりそれが積み重なった結果うっ滞として現れてくる事があります。
同居で犬や猫などモルちゃんより体の大きい動物がいる場合は、同居動物の存在自体がモルちゃんのストレスになる事が多いので部屋を完全に別けるなど日頃から注意が必要です。 - 運動不足・肥満
運動不足になると当然ですが肥満の原因になります。
肥満は万病の元とも言えるくらい様々な病気や怪我に繋がります。
適度に部屋んぽに出してあげて歩き回ってあっちでプイプイこっちでプイプイ鳴いて運動してもらいましょう! - おやつの食べ過ぎ
モルちゃんの健康な腸内環境と腸の動きには、食物繊維が欠かせません。
チモシーを食べずにおやつばかり与えていると、食物繊維が足りなくなり腸の動きが悪くなる・腸内細菌のバランスが崩れるのでうっ滞になってしまう事があります。 - 不正咬合
不正咬合になり物が上手く食べれなくなった結果うっ滞になってしまう事もあります。
物が食べれ無くなればお腹の動きも鈍くなってしまうのでうっ滞になってしまいます。 - チモシーをあまり食べていない
モルモットにとって繊維質はとてもとても大事な物です。チモシーを食べる事でその食物繊維質の大部分を補っているのでチモシーを食べない=うっ滞になる可能性が高い子です。
基本チモシーよりもペレットの方が好きな子の方が多いのでペレットをよく食べるからとペレットばかりあげすぎるのはNGです。
ペレットはパッケージに書かれている量を守ってあげるようにして下さい。 - 誤飲
部屋んぽ中やケージ内に何かしらが落ちてしまいモルちゃんが食べてしまうとお腹の中で詰まってしまう事があります。
モルちゃんが行く可能性のある場所は、あらかじめ掃除をして誤飲の可能性を少しでも減らしておきましょう。
長毛種の子は換毛期には、特にブラッシングをしてあげるようにすると毛を食べてしまう事を減らせます。 - 他の病気
実は他の病気に罹っていてそれがうっ滞の原因になっている事もあります。
その場合は、うっ滞の治療も勿論ですがその原因となった病気・怪我の治療もしてあげる必要があります。 - 処方された薬が原因になる事も...
処方された薬が原因で腸内細菌のバランスが大きく崩れてしまい結果としてうっ滞の原因になってしまう場合もあります。
モルモットなどのエキゾチックアニマルに不慣れな獣医さんもいらっしゃるので事前にその病院がモルモットを診察できるのか・今まで診察した例はどれくらいあるのか調べておく事をお勧めします。
「モルモット 抗生剤 危険」などで検索すると色々出てきますので一度調べてみて下さい。
うっ滞にならない為の対策
うっ滞は原因も様々なので「これだけ守っておけば防げる!」という事がありません。
モルちゃんに体の事を考えて快適な環境・食生活を用意して他の病気にも注意して生活するように心掛ければうっ滞の可能性も減らせます。
- ウンチを見守る
毎日プリプリプリプリウンチをしているモルちゃんですがそのウンチをしっかりと毎日確認して健康なウンチかどうかチェックしてあげて下さい。
ウンチの量も毎日の掃除のときに確認してしっかりと出ているか確認してあげて下さい。 - おやつのあげすぎに注意!
おやつを食べる姿は引くほど可愛いですがあげすぎはダメです。
決めた量をあげるようにしてそれ以上は欲しがっても心を鬼にして断ってください。
おやつの量はモルちゃんが1日に食べる総量の約2%ほどの量にするのが適量かと思います。 - 夏でもヒーター使用する
夏のだからヒーター何て使わなくても良いでしょ!と思うかも知れませんが使ってあげて下さい。
クーラーを使い室温を下げている場合は、設定温度はしっかりと快適気温にしていてもモルちゃんからすると少し寒いと感じる事もあります。
そんなときの為にペットヒーターでアッチッチスポットを作ってあげておくと、モルちゃんが寒いと感じたら自分の意志でその場所に行って暖を取るようになります。
※管理人宅では、室温を少し低めに設定しているのでモルズ達はたまにですがヒーターに乗っかって寝てます。
クーラーを使用していない・飼育部屋にクーラーが無いという方!
クーラーを使わない環境でモルちゃんが夏を乗り切るのは至難の業です、早めにクーラーを導入してあげて下さい。 - チモシードカ食い!
おやつやペレットを美味しそうに沢山食べるからとあげすぎないように注意して下さい。
食物繊維の多くはチモシーから摂取しています。
「同じような草だしアルファルファの方が食べが良いからアルファルファでいいか!」はNGです。
アルファルファは高蛋白低繊維です。適切な期間を過ぎてもアルファルファを与え続けるとブクブクと太ってしまいます。
小さい頃は沢山栄養を取って大きくなるためにアルファルファを与えますが、ある程度大きくなったらチモシーに切り替えてあげる必要があります。
食物繊維を摂取しない・量が少ない=うっ滞の原因です。 - 誤飲の可能性を限りなく減らす
何かを誤飲してしまい詰まってしまう事もあるのでモルちゃんが行く可能性のある場所は、常に掃除して誤飲の可能性を減らしましょう。
「こんな物食べないでしょ!」という考えで置きっぱなしにしていると危険です。
モルちゃんは人間の想像以上に何でも齧って口にしてしまいます。とにかく物を置いておかないのがおススメです。 - ブラッシングをする
特に長毛種の子は換毛期に結構な量が抜けてくるのでブラッシングをしてあげて下さい。
短毛種でも定期的にブラッシングしてあげる事をお勧めします。
スキニーの子はブラッシングする物が無いので撫でまくってプイプイ言わせてやりましょう! - ストレスを掛けない生活をする
過度なストレスは、万病の元です。
なるべくモルちゃんが過ごしやすく快適な環境での飼育を目指して頑張りましょう! - 新しいペレットへの交換はゆっくりと!
今使っているペレットから違う種類の物に変更する時は、ゆっくりと時間を掛けて変えてあげるようにして下さい。
いきなり全部新しい物に交換したりするとグルメなモルちゃんは「全く食べない」何て事もザラにあるので徐々に変更するようにしてあげて下さい。
日数 | 今までのペレット | 新しいペレット |
1日~3日 | 8 | 2 |
4日~7日 | 6 | 4 |
8日~10日 | 4 | 6 |
11~14日 | 2 | 8 |
15日~ | 0 | 10 |
- 動物病院はしっかりと選ぶ
普段モルモットは診ない獣医さんでも、モルモットにとってNGな薬があるという事は知っている方が多いかと思います。
ですが中にはその事を全く知らない先生もいるかもしれません、事前にHPなどで確認してエキゾの診療が可能かどうか確認しておいて下さい。 - 歯の様子は定期的にチェックする
不正咬合で物が食べれなくなってうっ滞になるという子もいます。
食べたいけれど食べれない...という非常に辛い状態になってからのうっ滞という地獄の様なコンボがやってきます。
もしそれが原因で命を落としてしまった日には後悔しか無いと思います。
そんな事にならないように定期的に歯の伸び具合・噛み合わせをチェックしてあげて下さい。 - プロバイオティクス!
名前だけ聞くとカッコよくていかにも効きそう感がありますが有用性は確認されていません...
ですがあげないよりはあげていた方が体に良さそうなので可能であればあげときましょう。
ややこしいですがプレバイオティクスであるフラクトオリゴ糖を与えるとモルモットの盲腸微生物の増殖に効果的だとされています。
⇩のフードは一応オリゴ糖配合らしいです...
参考にさせて頂いたサイト
- avianexoticsvet
https://avianexoticsvet.com/ - oxbowanimalhealth
https://www.oxbowanimalhealth.com/ - petplace
https://www.petplace.com/ - yakult
https://institute.yakult.co.jp/
- exoticdirect
https://www.exoticdirect.co.uk/ - vethelpdirect
https://vethelpdirect.com/ - dvm360
https://www.dvm360.com/